【50人目|ゆみ編(中)】好き度70点。それが一番心地よかった

恋愛遍歴

ゆみと付き合い始めてから、気づけば僕は彼女の部屋にいる時間が増えていた。いつの間にか半同棲みたいな生活になっていた。

派手なデートは、あまりしない。家でテレビを見て。お腹が空いたらご飯を食べて。食後には二人でタバコを吸う。

マイルドセブン。

付き合うきっかけになったあのタバコは、付き合ってからも二人の定番だった。今思えば、部屋の中はかなり煙たかったと思う。

ある日、ゆみが一冊の本を持ってきた。

「タバコやめへん?」『禁煙セラピー』という本だった。

「これ読んだら、本当にやめられるらしいよ。」

半信半疑だったけど、二人で挑戦してみることにした。結果は、見事に分かれた。

ゆみは最後まで読んで、本当に禁煙した。僕は一ページ読んで閉じた。

「……無理。」

あっさり挫折である。ちなみに僕が禁煙したのは、もっと後の話だ。冬の寒い日に外で吸うのが面倒になったから。

我ながら、なんとも情けない理由だった。

ゆみは、イベントを大切にする人だった。クリスマスだったか、僕の誕生日だったか。彼女は手作りのいちごホールケーキを用意してくれた。

生クリームは少し斜め。イチゴの並べ方も、どこか大雑把。ケーキ屋さんみたいな出来栄えではなかった。

でも、その不器用さが、たまらなく嬉しかった。「ああ、この人、一生懸命作ってくれたんやな。」そう思えた。

完璧じゃないからこそ、忘れられないケーキだった。

ある日、二人で初めてミスチルのコンサートへ行った。普段のゆみは、落ち着いた人だった。大きな声を出すこともない。

ところが、照明が消え、メンバーがステージに現れた瞬間だった。

「キャーーーーーー!!」

僕は思わず横を見た。誰や、この人。それくらい別人だった。歌が始まると、僕のことなんて完全に忘れていた。目はキラキラ。口ずさみながら、ずっと笑っている。

ちょっとだけ嫉妬した。相手は手の届く男じゃない。それでも、「こんな顔もするんやな」と思うと、少し悔しかった。

そんな時間も、今ではいい思い出だ。あの頃、僕は仕事を辞めて無職になった時期があった。将来なんて何も見えなかった。

大阪の夜景を見ながら、

「大丈夫やで。」

ゆみは静かにそう言ってくれた。その言葉だけで、十分だった。……と思っていた。

ところが、一週間後。

「で、まだ働かへんの?」

現実だった。優しいだけじゃない。言うべきことはちゃんと言う。それが、ゆみだった。

甘やかしてくれる人じゃない。でも、ちゃんと支えてくれる人だった。

激しく燃え上がる恋ではなかった。「好き」は100点じゃなかった。たぶん70点くらい。

でも、その70点が一番心地よかった。恋愛なのに、無理をしなくていい。背伸びをしなくていい。一緒にいるだけで安心できる。そんな幸せが、この世にあることを、僕はゆみから教わった。

(下編へ続く)—

💡 今日のまふぇっと教訓

👉 恋愛は、100点を追いかけるより、70点をずっと積み重ねられる相手のほうが幸せになれる

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