62人目の「ウォーウォーの女」。
63人目の「初逃亡」。
関東に来て早々、マッチングアプリで2連続の失敗をした僕は、すっかり自信を失っていた。
「関東って、こんな感じなのか……?」それでも、懲りずにマッチングアプリを続けた。
そして、3人目の女性と会うことになった。
—横浜中華街が好きな女
待ち合わせをしたのは、横浜。地方出身で、茶髪。明るくて、よく喋る女の子だった。
僕は彼女と会った瞬間、「今回は、普通にいけそうだな」と思った。
何より、彼女は横浜中華街が好きだった。僕も嫌いじゃない。
そこで、仕事終わりに横浜中華街でご飯を食べるようになった。一度会うと、また誘われる。そして、また会う。
気がつけば、週に2回くらい会っていた。月にすると、8回くらい。
もはや、かなりの頻度だった。
「全部奢るよ」の代償
当時の僕には、妙な男のプライドがあった。女性との食事で、「割り勘で」とは、なかなか言えない。
だから僕は、毎回こう言っていた。
「全部奢るよ」……言ってしまった。
横浜中華街には、たくさんの店がある。その中でも、僕たちはよく有名な中華料理店に入った。
料理は美味しい。雰囲気もいい。彼女も楽しそう。
問題は――値段だった。酒をほとんど飲まないのに、普通に5,000円、6,000円。ちょっと頼めば7,000円。
彼女が、「これ食べたい!」と言う。僕は、「いいよ!」と言う。そして心の中では、「……待て。今それ頼んだら、今日いくらになる?」と計算していた。
彼女には見えないところで、脳内電卓がフル稼働していた。
–3品で止める男
彼女が料理を追加しようとすると、「とりあえず、これくらいでいいんじゃない?」と、さりげなく止める。
僕の中では、「4品いったら7,000円コースだぞ」という警報が鳴っている。
でも、「金がないから、それ以上頼まないで」なんて、カッコ悪くて言えない。
だから、「まずこれ食べてからにしよう!」と、もっともらしい理由をつける。
男のプライドと財布。この2つが、毎回僕の中で戦っていた。
そして会計。5,000円。まあ、いい。6,000円。……まあ、いい。7,000円。…………。
翌日の昼飯をどうするか考える。当時の僕は、そんな生活をしていた。
そして、僕は気づいた
そんな関係が1か月ほど続いた。何度も会った。中華街にも何度も行った。
ご飯も何度も奢った。でも――手をつなぐことはない。距離が縮まる感じもない。
恋愛っぽい雰囲気もない。そこで、僕はようやく気づいた。これ、ただの飯友じゃないか。
彼女にとって僕は、「一緒にご飯を食べると楽しい人」だったのかもしれない。
でも僕は、毎回それなりのお金を使っている。さすがに、「このまま週2で中華街はキツい……」と思った。
そこで僕は、少しずつ誘いを断るようになった。「今日は仕事が……」
「ちょっと予定があって……」そんなことを繰り返しているうちに、自然と会わなくなった。
数年後、まさかの再会
それから、何年か経った。ある日。横浜中華街の近くの駅で、偶然彼女を見かけた。
「あ……」一瞬で分かった。向こうも僕に気づいたかもしれない。
でも僕は――そのままスルーした。声はかけなかった。向こうも何も言わなかった。
それでいい。僕たちは、そういう関係だった。
今のまふぇっとの独り言
今振り返ると、あの頃の僕は、とにかく女性に嫌われたくなかった。
「全部奢るよ」なんてカッコつけておきながら、頭の中ではずっと、
「今日いくら使った?」
「あと何品いける?」
「明日の昼飯どうしよう?」
と考えていた。男のプライドとは、なかなか面倒くさい。
そして、もっと面倒くさいのが――それだけ金を使っても、恋愛には一切進展しなかったことだ。
僕が毎回計算していたのは、料理の値段だけじゃなかった。「この女性と、この先どうなるんだ?」ということまで、無意識に計算していたのかもしれない。
–【今日のまふぇっと教訓】
👉 「全部奢るよ」は、カッコいい。でも、進展のない飯友に毎回奢る必要はない。そして、「食べてから追加しよう!」は、財布を守るための立派な防衛策である。
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