「冷たくて強い男」への憧れ
当時の僕は、かなり屈折していた。周りの女性から馬鹿にされているような気がして、悔しくて仕方なかった。
そして、相手を思ってない様に見える、冷たくてクールな男が女性にモテるのが羨ましくて、悔しかった。
その反動で、
「相手の目を見ない」
「冷たくて余裕のある男がカッコいい」
そんな謎の美学を必死に守っていた。【43人目|強がり編】網タイツとおしるこの美学と出会ったのもちょうどこの頃だ。
本来の僕は、そんなに冷たい男じゃない。好きな人と仲良くなりたい。愛されたい。よく女性の話を聞く大人しい男性。
でも、傷つきたくなかった。
だから自分の中に、もう一人の男を作った。
「女なんて別にどうでもいい」
「エッチできたって、そんなことで喜ぶな」
そんなことを自分に言い聞かせる、冷たくて強い男。今思えば、笑えるがその時は真剣だった。
梅田の昼ドライブ
そんな夏の日の昼下がり。マッチングアプリで知り合った年下の女性と、梅田で待ち合わせた。
現れた彼女は、可愛らしくておしゃれな、いわゆる「妹系」の女の子だった。
そして僕には、なんとなく分かった。彼女が僕を、「頼れるお兄さん」として見ている。心地よい視線。もう一人の自分はこれはイケるかも!?と喜んでいた。
愛車に乗る僕の姿や、あえて冷たく振る舞っていたことも、彼女からすれば「余裕のある大人の男」に見えたのかもしれない。
梅田で合流し、そのまま車で少しドライブ。会話がものすごく盛り上がったわけでもない。運命的な何かがあったわけでもない。
ただ当時の僕は、例の「冷たい男」を演じていた。だから、後先なんて考えずに誘った。
「ホテル行く?」彼女は断らなかった。そして車は、そのままホテルへ向かった。
小心者でビビリのくせに、できるだけ「当たり前ですよ」という顔をしていた。今思えば、必死にクールビューティを演じていた
直視できない男と、2時間の出来事
ホテルに入ってからも、僕は最後まで「冷たい男」を演じていた。相手の目をまともに見ない。
せっかく可愛い女性と二人きりになったのに、僕は彼女の顔すらろくに見ていなかった。
そして、終わると余韻に浸ることもなく、彼女を車に乗せて元の場所へ送った。
待ち合わせ。
ドライブ。
ホテル。
解散。
全部合わせて、約2時間。短い。あまりにも短い。彼女は最後までニコニコしていた。
でも、僕には彼女が何を考えていたのか、さっぱり分からなかった。
その後、連絡先を交換することもなかった。「今日はありがとう」もない。「また会いたい」もない。
僕も僕で、「向こうから連絡してこないなら、こっちからする必要もない」と、最後までスカしていた。
こうして、2時間だけの出会いは終わった。
今から思えば。。。
当時の自分をぶん殴ってやりたい!
なんでしっかり見ないの!
女性の裸だよ!
好意の視線だよ!
こんな経験もうないかもよ!
バカバカバカー!
あの頃の僕は、恋愛に感情を振り回されていた
第三者から見れば、ただの軽い関係だったと思う。でも、当時の僕はそう思っていなかった。
身体の関係って、もっと特別なものだと思っていた。好きでもない相手と、簡単にするものじゃない。
解散した後、僕はこう思った。「出会ってすぐにこういうことをする女性とは、本気では付き合えないな」
……いや。お前が誘ったんだろ。
今ならそう言いたい。自分から誘っておいて、相手が応じたら、「こういう女性とは付き合えない」って何様なんだ。
当時は本気でそう思っていた。「可愛い子と出会った日にこうなった。ラッキー!」と素直に喜べばいいのに。
傷つきたくない。女に振り回されたくない。自分が上の立場でいたい。そんなくだらないプライドが、全部を邪魔していた。
たった2時間の記憶だけだった。それでも、この女性との出会いには意味があった。
僕はこの頃から少しずつ、「強い男」と「強がっている男」は違う。そのことに気づき始めていたのだと思う。
【今日のまふぇっと教訓】
👉 強がって「冷たい男」を演じると、せっかくのチャンスまで自分で潰す。
今なら、あの2時間をもっと普通に楽しめたと思う。冷たい男になりたかった若き日の僕が、自分で作ってしまった「2時間の女」だった。
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