【50人目|ゆみ編(上)】狐顔と、マイルドセブン

恋愛遍歴

49人目の姉さんに誘われて参加した、お見合いパーティー。

あの日、もし「面倒くさいな」と断っていたら。僕は、この人と出会っていなかった。

50人目。ゆみ。

僕の恋愛人生の中で、一番「安心」という言葉が似合う女性だった。僕より4歳年下。

最初に見た時の印象は、「ちょっと怖そう」。黒髪で、切れ長の目。いわゆる狐顔だった。美人だけど、少し冷たく見える。そんな女性だった。

ところが、話してみると印象はまるで違った。

よく笑う。

気取らない。

思ったことを、そのまま口にする。

そして、初対面の僕に向かって普通に言った。

「お前さぁ。」

……お前?一瞬、自分の耳を疑った。女性から「お前」と呼ばれたのは、人生で初めてだった。

「えっ、俺、お前なん?」

そう思いながらも、悪気がまったくない。だから怒る気にもなれない。付き合ってからも、しばらく「お前」は続いた。

なんとかやめてもらおうと心の中では思っていたけど、結局うまく言えなかった。今日は何回言われたなー。今日は1回も言われなかったぞ!そんなことを考えて一喜一憂していた。

今思えば、それもゆみらしさだったのかもしれない。口は少し強い。でも、不思議と嫌な気持ちにはならない。付き合ってから聞いた話だけど、家族にはよく、

「その性格じゃ、彼氏もできへんし結婚もできへん。」

と言われていたらしい。確かに、気は強かった。でも僕が知っているゆみは違った。

狐みたいに少し冷たく見えるその表情の奥に、誰よりも優しい人がいた。たぶん、その優しさを知っているのが、自分だけだったことが、少し誇らしかった。

カップリングしたあと、初めてのデート。

その日、一番印象に残ったのは、食事でも会話でもない。

タバコだった。

僕がバッグからマイルドセブンを取り出す。すると、ゆみもバッグをごそごそ探し始めた。出てきたのは、まったく同じマイルドセブン。

「えっ、一緒やん。」

二人で笑った。たったそれだけ。でも、その瞬間に距離が縮まった。

今の時代なら、あまり共感されないかもしれない。でも当時の喫煙者同士には、同じ銘柄を吸っているだけで妙な仲間意識があった。

その頃の僕は、恋愛に少し疲れていた。

好きになって。

傷ついて。

また好きになって。

そんなことを繰り返してきた。だから次に付き合うなら、激しい恋じゃなくていい。隣にいるだけで安心できる人がいい。ゆみは、そんな僕の前に現れた女性だった。

この頃の僕は、まだ知らなかった。この「普通」の毎日が。あとになって、何度も思い返すくらい大切な時間になることを。

(中編へ続く)


💡 今日のまふぇっと教訓

👉 人は見た目で恋をすることがある。でも、本当に好きになるのは、その人だけが持っている優しさだったりする。

まふぇっとの更新を応援してくれる方は、下のボタンをポチッとお願いします!

にほんブログ村 恋愛ブログ 愛の軌跡・記録へ
にほんブログ村

💡 この出会いは、お見合いパーティーから始まりました。今は当時より気軽に出会える恋活・婚活サービスも増えています。「新しい出会いが欲しい」そう思った方は、一度チェックしてみてもいいかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました