【42人目|闇堕ち編】「ナメられたくなかった」

恋愛遍歴

「もう、真面目に生きるのやめようかな」

深夜のコンビニの駐車場。車の窓に映った自分の顔を見ながら、僕はぼんやりそんなことを考えていた。

仕事は要領が悪い。上司にも後輩にもナメられる。女性社員には半笑いで見られる。恋愛もうまくいかない。

頑張ってるつもりなのに、空回りしてる感だけがどんどん強くなっていった。その頃の僕は、「優しい男」でいようとしていた。

でも現実は、優しいというより、“舐められてるだけ”だった。だから僕は、急におかしな方向へ走り始めた。

まず車を変えた。黒のチェイサー(当時の僕が考える「悪そうな男の象徴」だった)。少し車高を落とした、いかついセダンだった。会社に乗っていくと、周りの反応が少し変わる。それだけで、なんだか自分が強くなった気がした。

髪も茶色く染めた。鏡の前で顎を引いて、悪そうな顔の練習までしていた。今思えば、かなり痛い。でも当時の僕は本気だった。

夜になると、部屋で筋トレも始めた。

腕立て。

腹筋。

そしてシャドーボクシング。

鏡の前で、茶髪の自分に向かって拳を振る。強そうな上司を想定してハイキックの練習していた。本気で、(いつ喧嘩になっても大丈夫なように)とか考えていた。

完全にメンズエッグ(当時流行っていた、ヤンキー系ファッション雑誌)の見すぎだったと思う。そんなある日。コンビニへ立ち寄った。入り口には、地元のヤンキーっぽい男たちが数人たむろしていた。

昔の僕なら、絶対に避けて通っていたと思う。でも、その頃の僕は違った。

黒チェイサー。茶髪。毎晩シャドーボクシング。謎の自信だけはあった。僕はそのまま真っ直ぐ歩いていって、低い声で言った。

「……邪魔だから、どいて」

ヤンキーたちが、一瞬だけこっちを見る。横を見ると、コンビニに入ろうとしていた女性がビビっていた。でもその瞬間。

(あ、今の俺ちょっと強そうかも)と、本気で思ってしまった。

今思えば、完全におかしくなり始めていた。

――そんな頃に出会ったのが、42人目の女性だった。待ち合わせ場所は梅田。彼女は看護師だった。

小柄で、肩までのボブ。そして、びっくりするくらい短いミニスカートだった。

「こんばんは」僕は少し斜に構えながら話しかけた。でも彼女は、僕を見たあと何も言わず、そのままスタスタ歩き始めた。

横断歩道を、どんどん進んでいく。

(え……?)(俺、今嫌われた?)

田舎から何時間もかけて来ている。このまま帰るわけにはいかない。僕は、ミニスカートの後ろ姿を必死で追いかけた。(後編へ続く)

💡 今日のまふぇっと教訓

👉 ナメられたくない男ほど、まず「見た目の武装」から始める。

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💡42人目の看護師さんとの出会いはマッチングアプリでした。恋愛はうまくいかなくても、出会いの数だけは確実に増えます。

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