【42人目|崩壊編】「夜にサングラスで迎えに行ったら終わった」

恋愛遍歴

梅田のど真ん中。どえらいミニスカートの後ろ姿を、僕は必死で追いかけていた。

「ちょ、ちょっと待って!」

すると彼女は振り返って、普通に言った。

「ご飯行くんでしょ?」

どうやら、逃げられたわけではなかった。ただ、めちゃくちゃマイペースな女性だった。

その後、僕たちは何度か会うようになった。彼女は看護師らしく、かなり気が強かった。ツンデレというか、ほぼツンだった。

でもなぜか、僕はその距離感にハマっていた。何度目かのデートで、彼女の家にも行った。ただ一緒に音楽を聴いたり、ゴロゴロしたり。そういう時間が続いた。

でも、僕だって男だった。しかも当時の僕は、黒チェイサーに乗って、毎晩シャドーボクシングしている“闇堕ちまふぇっと”である。

ある日、僕は意を決して誘った。

「……ホテル行こうよ」すると彼女は即答した。

「綺麗で有名なホテルじゃないと嫌」

プライドが高かった。でも僕も、なぜかそれが悔しくて、有名なホテルへ向かった。

そして――。終わった。まず、緊張で全然立たない。しかも彼女は、終始ちょっと冷たい。豪華なホテル。静かな部屋。横で寝てるツンデレ看護師。

焦る僕。僕は必死だった。横で、めちゃくちゃ頑張って自家発電した。「頼む……!」と、本気で思っていた。

なんとか復活。そして挿入。でも。1分だった。たぶん、人生最速クラスだったと思う。

外では、黒チェイサーに乗ってイキっているのに。コンビニでは、ヤンキーを睨んでいたのに。ホテルでは、緊張して立たず、1分で終わる男だった。本当に情けなかった。

でも、僕のイキりはまだ終わらない。ある日、僕は新しい武器を手に入れた。サングラスだ。しかも、夜用である。

その日、僕は彼女を迎えに行った。当然、夜だった。でも当時の僕は、本気で「これが悪そうでカッコいい」と思っていた。

チェイサーの運転席で、サングラスをかけて待つ。しばらくして、助手席のドアが開いた。彼女が乗ってくる。

そして。夜中なのにサングラスを掛けている僕を見るなり、彼女は真顔で言った。

「……もういいわ」

ガチャ。ドアが閉まる。帰っていった。

たぶん、人生で一番サングラスが似合ってなかった夜だった。その後、彼女は医者と付き合ったらしい。

ただ、なぜか後日、僕にこんな愚痴を言ってきた。「最初はいっぱい求めてきたのに、最近全然手出してこないんだよね」僕は心の中で思った。

(僕なんて、最初から立たなかったけどね……)ナメられたくなくて、必死に背伸びした時代。でも結局、一番ダサかったのは、“強そうに見られたい自分”そのものだった気がする。

(43人目へ続く)

💡 今日のまふぇっと教訓

👉 夜のサングラスは、“強そう”を通り越すと、“面白い人”になる。

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