同窓会が終わってからもしばらく、僕の中には“あさみ”と別れたショックが残っていた。振り回されて、傷ついて、ボロボロになったくせに。 心のどこかではまだ、
「あさみ以上の女が現れれば、全部忘れられる」そんな都合のいいことを考えていた。
だから大阪で出会った“レベル90の美女”に、僕は本気で救われたかったんだと思う。でも現実は違った。キスをするたび、彼女は“まずい飯を食べた時みたいな顔”をした。拒絶はしない。 逃げもしない。 ちゃんと受け入れてくれる。
でも、顔だけが本音を隠しきれていなかった。その表情を見るたびに、僕の中の何かが少しずつ削れていった。結局、その美女とも自然消滅した。またダメだった。 また「選ばれなかった側」に戻った。
そんな頃だった。職場でも、空気がおかしくなり始めていた。
工場勤務。
汗。
油。
怒鳴り声。
男ばかりの現場。上司からも、後輩からも、どこか舐められていた。部下を守るどころか、一緒になって笑う上司。 あからさまにナメた態度を取ってくる後輩。
仕事もそこまでできない。 要領も良くない。しかも当時の僕は、変に“モテようとしてる感”だけが滲み出ていたんだと思う。
会社の女性社員二人も、そんな僕を見て半笑いだった。立場も部署も違うはずなのに、 僕に向ける目は同じだった。露骨な悪意じゃない。でも分かる。「あ、この人たち、俺のこと下に見てるな」って空気。
その感じが、妙にキツかった。ある日。 休憩室で、その女性社員の一人が笑いながら言った。
「まふぇっとさんって、なんか頑張ってますよねw」
周りもクスクス笑っていた。たぶん悪気はなかったんだと思う。でも、その瞬間。胸の奥に溜まっていたものが、一気に噴き出しそうになった。
39人目の美女。
アプリの連敗。
会社での扱い。
上司の圧。
後輩の視線。
全部が繋がった。
(なんなんだよ)
(なんで俺ばっかり)
誰からも選ばれない。 女性にも舐められる。 男性にも舐められる。頑張っても空回り。気づけば、世界中が僕を小馬鹿にしているような気がしていた。
僕を半笑いで見ていた、会社のあの2人の女性。今思えば、彼女たちこそが僕の苦い歴史の「40人目」と「41人目」だった。
そしてその夜。コンビニの駐車場で、タバコを吸いながら、車の窓ガラスに映った自分の顔を見ていた。
疲れた顔。中途半端な髪型。モテそうでもない。 強そうでもない。何者にもなれていない男。
(……ダサい)
その瞬間、頭の中で、パチン、何かが切れた気がした。
もういい。もう真面目にやるの、やめよう。
優しくしてもダメ。
普通でもダメ。
真面目でもダメ。
だったら、もう“怖そうな男”になるしかない。気づけば僕は、 スマホで「モテる男」「ヤンキー 髪型」「メンズエッグ」みたいな言葉を検索していた。
全員、見返してやる。その瞬間から。僕は少しずつ、おかしくなり始めた。
【42人目|闇堕ち編】「ナメられたくなかった」につづく
💡 今日のまふぇっと教訓
👉 男は、“優しさ”が踏みにじられ続けると、急に黒くなる。
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あの頃の僕は、出会いがあれば人生が変わると思っていた。実際は、出会っただけでは変わらなかった。それでも、出会わなければ42人目の黒歴史も存在しなかった。もし今、出会いがないなら。


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