あの先輩は、いつの間にか僕の左隣の席に座るようになっていた。朝礼前になると、決まってニヤリと笑いながら言う。
「今日も愛してるかい?」
「また冗談言ってる。」
そんなやり取りが、いつしか日課になっていた。彼女は距離感が近かった。でも、不思議と下品ではない。豪快で、よく笑って、誰よりも人を見ている人だった。営業に悩めば相談に乗ってくれる。落ち込めば笑わせてくれる。
営業として少しずつ結果が出始めた頃、会社から関東への転勤を命じられた。
僕にとって彼女は、尊敬する先輩であり、師匠のような存在だった。
最後の引き継ぎで、二人きりで営業先を回る日が続いた。車内では仕事の話もした。昔話もした。笑いっぱなしだった。
そして最終日。会社へ戻る途中だった。彼女が突然、小さな声で言った。
「マフェット、キスしようよ。」
「また冗談言ってる。」
笑いながら流そうとして、運転席を見る。
その瞬間、僕は言葉を失った。そこにいたのは、いつもの豪快な先輩ではなかった。
一人の女性がいた。
冗談でも照れ隠しでもない。静かに僕を見つめる、その表情だけは今でも忘れられない。(あ……これは、本気なんじゃないか。)そう思った。
それでも僕は何もできなかった。空気を壊す勇気もなければ、その一歩を踏み出す覚悟もなかった。
しばらく走ると、道沿いにラブホテルが見えた。彼女はまた笑いながら言う。
「じゃあ、ラブホテル行く?」
「行きませんよ。」
笑って返した。でも、心臓だけは笑っていなかった。(今思えば。。。仕事中の話だよね笑)
あれが冗談だったのか。本気だったのか。今でも答えは分からない。「確かめる勇気は、あの時の僕にはなかった。」
でも、一つだけ確かなことがある。
あの日、助手席で見た表情だけは、今でも時々思い出す。あの人は、僕の人生を変えた人だった。関西には、恋愛だけじゃない。人生を変えてくれた出会いがあった。
そして最後に、一人の女性としても強烈な印象を残して去っていった。恋愛だけじゃない。人生を変えてくれた人たちがいた。その中でも、彼女は間違いなく特別な一人だった。
この出会いを胸に、僕は次の戦場、関東へ向かった。
今日のまふぇっと教訓
👉 人生を変えてくれる人は、恋人とは限らない。でも、その人の言葉や表情は、一生忘れられないことがある。
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