10人連続で振られた。
今までの俺のやり方では、誰にも選ばれない。
だったら――全部変える。
優しくするのをやめる。
相手に合わせるのをやめる。
嫌われないようにするのをやめる。
そして俺は、恋愛における「俺様ルール」を作り始めた。
今振り返れば、かなり危ない。
というか――普通に考えたら、ちょっとおかしい。
でも、当時の俺は大真面目だった。
10人連続で振られた男が、人生で初めて「自分を守るためのルール」を作った。
それが、この七つだった。
① 戦闘服を装着する――スーツは「装甲」
デートに行くときはスーツ。
俺にとってスーツは、ただの服じゃなかった。
戦闘服だった。
スーツを着れば強くなれる。
少なくとも、自分ではそう思えた。
「今日の俺は大丈夫だ」
そう思える鎧だった。
今思えば、服にそこまで精神を預けていた時点で、かなり追い詰められていたと思う。単に私服がダサかっただけかも。。
② 身体の誘惑を完全遮断する
胸元。
短いスカート。
身体のライン。
以前の俺なら、そこに意識を持っていかれていた。
でも、それをやめる。
「ワンチャンあるかも」
そんなことを考えた瞬間、俺は弱くなる。
だから見ない。
女性を「女」として意識しすぎない。
今思えば、これも極端だった。
女性を冷静に見るというより、自分の欲望そのものを封印しようとしていた。
女性は見られてることを知っている。なせ?この男性は見ない?そう思わせたかった。
③ 時間の主導権を握る――遅刻されたら、俺も遅れる
女性が遅刻してきた。
以前の俺なら、
「大丈夫だよ!」
と言っていた。
でも、もうやらない。
相手が30分遅れたなら、俺はそれ以上遅れていく。
なぜなら――
「俺だけが待つ側」という関係を作りたくなかったからだ。
……今考えると、子どもみたいなルールだ。
「相手が遅れたから俺も遅れる」
これが恋愛戦術なのかと言われたら、かなり怪しい。
でも当時の俺には、それくらい**「下に見られたくない」**という気持ちが強かった。
本当は待ち合わせ30分前に来てますよ!
④ ファーストコンタクトは、絶対に目を逸らさない
待ち合わせで女性と目が合う。
以前なら、俺は緊張して目を逸らしていた。
でも、もう逸らさない。
じっと見る。
そして、余裕のある笑顔。
当時の俺は、
「ここで目を逸らしたら負けだ」
くらいに思っていた。
今なら分かる。
ただの待ち合わせなのに、俺は勝負にしていた。
恋愛を楽しむというより、
「俺は舐められていないか?」
「俺は弱く見えていないか?」
そんなことばかり考えていた。
自信のある女性ほど出会った瞬間、じっと目を見てくる。見定めてる?絶対そらさないぞ!
⑤ 先手必勝――俺から攻める
相手から評価されるのを待つ。
それまでの俺は、ずっとそれだった。
だから今度は、俺から攻める。
例えば、
「思ったより写真と違って可愛くないね(笑)」
……もちろん冗談として。
当時の俺は、こういう「ちょっと生意気な男」を演じようとしていた。
今読むと分かる。
普通に失礼である。
相手によっては、ただの嫌な男だ。
でも当時の俺には、
「嫌われてもいい」
という覚悟と、
「嫌われることを恐れるな」
という間違った勢いが混ざっていた。
⑥ 「俺様の理想」を先に決める
ここが、俺様理論の核心だった。
これまでの俺は、
「俺のことを好きになってくれる女性なら誰でもいい」
に近かった。
でも、それをやめる。
俺は俺で、
「こういう女性が好き」
という基準を持つ。
髪型。
雰囲気。
性格。
話し方。
そして心の中でこう考える。
「俺様の理想基準に、お前は合格するのか?」
それまで、
「俺は選ばれるかな?」
だったのが、
「俺が選ぶ側だ」
に変わった。
ただし――
ここまで来ると、もう自信というより防御壁だった。
「選ばれなくて傷つくくらいなら、最初から俺が選ぶ側になればいい。」
そんな、かなり危うい発想だった。
⑦ 自分のフィールドに会話を持っていく
そして最後。
相手の話をただ聞くのではなく、俺が用意してきた話題へ持っていく。
元カレの話を延々と聞く。
愚痴を全部受け止める。
相手に合わせ続ける。
――それをやめる。
俺が面白いと思う話をする。
俺が話したいことを話す。
相手のタイプによって、話す量と聞く量も変える。
当時の俺は、これを「会話の主導権」だと思っていた。
今なら、こうも思う。
人との会話を、完全に攻略ゲームとして見始めていた。
そして、七つのルールが完成した
こうして俺は、
「攻撃型ロボット・俺様」
というものを作った。
感情を殺す。
甘えを捨てる。
期待しない。
嫌われてもいい。
自分から選ぶ。
自分のペースを作る。
相手に合わせすぎない。
一見すると、強くなったように見える。
でも――
今振り返ると、少し違う。
俺は強くなったんじゃない。
10人連続で振られて、
「もう傷つきたくない」
と思った男が、
自分の周りに分厚い鎧を作っただけだった。
その鎧を「俺様」と呼んだ。
そして怖いのは――
このときの俺は、その鎧を本物の強さだと思っていたことだ。
もちろん、七つの中には今でも使える考え方もある。
自分の軸を持つこと。
相手に合わせすぎないこと。
自分の時間を大切にすること。
それ自体は悪くない。
でも、
「相手に嫌われてもいい」
と
「相手を雑に扱っていい」
は、まったく違う。
当時の俺は、その境界線がかなり曖昧だった。
そして――
そんな危うい「俺様理論」を抱えたまま、俺は次の女性へ向かっていく。
ここから先は、理論ではない。
実戦だ。
77人目。
覚醒した「俺様」は、初めてこの戦術を実際の女性にぶつける。
果たして――
この「俺様理論」は、本当に通用するのか。
それとも俺は、またしても撃沈するのか。
いよいよ――
反撃の火蓋が切られる。
【今日のリベンジマフェットの教訓】
「選ばれる側」にいることだけが、恋愛じゃない。10連敗した俺は、女性に好かれることだけを考えるのをやめた。
鎧をまとい、自分のルールを作り、自分も相手を選ぶ側に回ろうとした。「好き」にしてもらうのは難しい。だからこそ――「どうでもいい男」にはならない。嫌われてもいい。
少しくらいムカつかれてもいい。少しくらい「何、この人?」と思われてもいい。とにかく、相手の感情を動かす。
それが、当時の俺が10連敗の地獄から導き出した答えだった。それが正しかったのか。それとも――ただ傷つきたくなくて、ロボットの鎧を着ただけだったのか
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