〜3連敗の絶望的な暗黒期を抜け出し、僕の婚活ロードはついに「ひとつの到達点」を迎えることになる。
82人目のターゲット。彼女こそ、僕にとって記念すべき「横浜で初めてできた彼女」だった。
半年間にわたる交際の中で、僕たちのホームグラウンドとなったのは「スポーツバー」。
そして、そこは数々のハプニングとドラマが交錯する激闘の現場でもあった。
ZARA風の色気と、男も惚れる「カッコいい飲み方」彼女は27歳。
胸元がぱっくりと開いた服に短いスカート。ZARA風の外国人っぽい、色気ムンムンのスタイルで現れた。
一見すると高嶺の花のような雰囲気を漂わせているが、その中身はさらに衝撃的だった。
スポーツバーに入ると、彼女は慣れた手つきでイケメンのバーテンダーに話しかけ、迷わずテキーラをオーダーする。
ライムを口に含み、グラスを傾けて一気に煽る。そして――カコッ!
静かに、しかし力強く、グラスをカウンターに叩きつける。
その一連の動作のスタイリッシュさと潔さ。僕は彼女の圧倒的な「カッコよさ」に、一瞬で心を奪われてしまった。
ちなみに、そんな男前な彼女の横で、お酒があまり強くない僕が背伸びして頼んでいたのが
……そう、色鮮やかなカクテル「テキーラサンライズ」だった。
テキーラを豪快に煽る彼女と、色鮮やかなカクテルをちびちび飲む僕。
今思えば、なかなか面白い組み合わせだった。
スポーツバーの事件簿:1対6の「ロボット俺様ハッタリ戦術」
スポーツバーというオープンな空間では、事件が絶えない。ある日、僕がトイレに立ち、席を外したときのことだ。
戻ってきた僕の目に飛び込んできたのは、胸元ぱっくりの彼女を、スーツ姿のサラリーマン6人組が取り囲んでナンパしている光景だった。
(マジかよ……6人は多すぎるだろ……!)
心臓が破裂しそうなほどバクバクと鳴り響く。ビビり散らかした僕の脳内では、「戦うか、逃げるか」の二択が激しく交錯していた。
だが、ここで逃げたら男が廃る。僕は必死に恐怖を押し殺し、冷徹な「ロボット俺様」のハッタリを全力で発動させた。
「おい、どけドケ! はい、散った散った! 俺の彼女に気安く話しかけてんじゃねぇ!」
大声で強引に割り込み、1対6の状況をハッタリで突破。なんとか彼女を奪還し、男の威厳を守り切ったのだ。
……いや、正確には、守り切ったように見せかけたのだ。内心は心臓バクバク。相手が本気で反撃してきたらどうするつもりだったのか。
今考えても、なかなか無謀な作戦だったと思う。それでも、惚れた女の前では引けなかった。
小心者マフェットと外国人
……と、ここまでなら大格好いいエピソードなのだが、別の日にはこんな情けない一面もあった。
彼女がトイレに立ち、僕が一人で席を守っていたときのこと。
体格のいい外国人がやってきて、指でタバコをくわえるジェスチャーをしながら何かを言ってきた。
「……怖っ!!!」サラリーマン6人を怒鳴り散らしたはずの男はどこへやら。外国人の圧に完全にビビった僕は、秒速で自分のタバコを差し出していた。
さっきまでの威勢はどこに消えたのか。彼女を守るためなら1対6でもハッタリをかますのに、一人になると速攻で日和ってしまう。
この情けないギャップこそが、僕という人間のリアルだった。
結局のところ、僕は強い男だったのか、それともただの小心者だったのか。
たぶん、その両方だったのだろう。少なくとも、惚れた女の前では、普段の自分以上の男になろうとしていた。
スポーツバーの夜は続く
こうして、テキーラを「カコッ!」と煽るカッコいい彼女と、テキーラサンライズを飲む僕の、賑やかで刺激的なスポーツバーデートは続いていった。
色気があって、酒の飲み方がカッコよくて、隣にいるだけで刺激をもらえる女性。
そんな彼女と半年間も付き合うことになるなんて、3連敗の暗黒期にいた頃の僕には想像もできなかっただろう。
だが、この物語の本当の深みは、スポーツバーを出た「その先」にある。
強がりも、ハッタリも通用しない二人きりの時間。そこで僕は、彼女との関係に新たな一歩を踏み出すことになる。
次回、【82人目|後編】ホテルでの葛藤と、初めて心を通わせた夜。
【今日ののマフェット教訓】
惚れた女の前では強くなれる。だが、一人になれば、ただの小心者に逆戻りする
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