78人目まで、俺は調子に乗っていた。10連敗で生まれた「ロボット俺様」。
そして、77人目、78人目と続いた成功。「俺様でいける。」そう思い始めていた。
だが――79人目。ここから、3連敗が始まる。
待ち合わせの瞬間に、もう終わっていた
79人目の女性は、24歳のギャル系だった。派手な髪色。胸元の開いた服。短いスカート。
以前の僕なら、少し気後れしていたかもしれないタイプだ。でも、この頃の僕は「ロボット俺様」。スーツ姿で、一人称は「僕」。
一見スマートな紳士を演じながら、いつものように相手を観察していた。ところが――待ち合わせの瞬間から、嫌な予感がした。
彼女は僕を見ても、特に嬉しそうな反応をしない。一瞬こちらを見て、「どうします?」低く、暗いトーン。塩対応だった。
(……あれ?)みなとみらいの汽車道を歩き、ワールドポーターズへ向かう。
僕は用意していた鉄板トークを次々と出した。でも、空回り。何を話しても、彼女の表情はほとんど変わらない。
食事をしても、空気は変わらなかった。彼女は「帰る」とは言わない。でも、楽しんでいないことだけは分かった。
僕の頭の中に、嫌な予感が浮かんだ。(このまま解散したら、駅に着いた瞬間にブロックされるんじゃないか?)
長年の経験から、なんとなく分かっていた。――もう、死期が見えていた。
焦った「俺様」本来なら、ここで引くべきだった。ダメなら、今日は終わり。それが「俺様」のはずだった。
ところが――「このまま終わってたまるか。」焦った。ロボットのはずなのに、感情が出た。横並びの席で話しているとき、僕は一発逆転を狙って彼女との距離を詰めた。夜で暗いし、人も周辺にはいないから大丈夫でしょ。。。
不意に唇を重ねようとした。ほんの一瞬。触れるか触れないか程度の「微キス」だった。
でも――奇跡は起きなかった。彼女は言葉を失い、身体を引いた。怒鳴るわけでもない。逃げ出すわけでもない。
ただ、「何してるの?」と言わんばかりの空気。その瞬間、僕は悟った。
(……終わった。)起死回生を狙った一手は、逆に自分の敗北を確定させただけだった。
「選ぶ側」のはずが、追いかけていたその後も気まずい空気のまま、彼女を駅まで送った。
改札へ消えていく彼女の背中を見ながら、僕は自分の負けを認めた。「引く」。それが、俺様理論だったはずだ。
なのに僕は、相手の塩対応を見て焦った。嫌われるのが怖くなった。そして、一発逆転を狙って自分から食いついた。
完全に、俺様理論から外れていた。78人目までは、「俺が選ぶ。」そう思っていた。79人目では、「なんとか選ばれたい。」に戻っていた。
その違いは、自分でもはっきり分かった。こうして僕は、3連敗の1敗目を喫した。そして、この一敗は――ここから始まる連敗の、ほんの入口に過ぎなかった。
【本日のまふぇっと教訓】
死期を察しても、焦るな。ダメなときに一発逆転を狙うと、俺様は簡単に「追う側」へ戻ってしまう。引くべきときは、引く。それが、この日の敗北から学んだことだった。
だが。。。キスするタイミング狙う緊張感は悪くない笑
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