※ここから話は一度、66人目の女性とのその後に戻る。10連敗を経て「俺様」に覚醒した俺が、かつて俺を振った彼女に、もう一度向き合うことになる。
半年間。俺は、この女性の話を聞き続けた。夜の公園で何度も会い、彼女の話を聞き、優しく接した。そして告白した。――振られた。
その後、俺は横浜で10人連続で振られた。そして、壊れた。いや。正確には――自分を守るために、「壊れたふり」を始めた。
「選ばれる側」をやめる。嫌われてもいい。期待しない。感情を殺す。自分から選ぶ。
そうして生まれたのが、「攻撃型ロボット・俺様」だった。
そして俺は、その新しく作った俺様理論を――かつて俺を振った66人目の彼女に試してみることにした。
1.公園での先手必勝
舞台は、かつて彼女に告白して振られた、あの公園。以前の俺なら、彼女の顔色を見ていた。
嫌われないようにする。機嫌を取る。優しくする。相手に合わせる。
でも、もう違う。俺の中では、「そんな『いい人』は、もう死んだ」という感覚だった。
彼女と会う。そして、今までの俺なら絶対にしなかったような、強い態度で距離を詰める。
「可愛いんだから、付き合おうよ」軽いノリ。でも、今までとは明らかに違う押し方だった。
彼女は、「えへへ」と笑った。俺は思った。
(そうか……)
(女性は、顔色をうかがってくる男より、こうやって引っ張ってくる男のほうがいいのか?)
10連敗していた俺にとって、それは強烈な成功体験だった。さらに俺は、「キスしようよ」と距離を詰めた。
一度でうまくいかなければ、また距離を詰める。彼女の反応を見ながら、以前の俺なら絶対にできなかった強引さを出していった。
何度か公園で会う。そして俺は、今までとはまったく違う態度を取り続けた。
やがて彼女は、「うん、分かった」と、俺と付き合うことを受け入れた。その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
「やっぱり、これだったんだ。」
選ばれる側から、選ぶ側へ。10連敗の屈辱を越えて、俺様理論が、初めて結果を出した。当時の俺は、本気でそう思った。
2.「僕」という仮面
4回目のデート。俺たちはラブホテルへ向かった。そこから、二人の関係は一気に変わった。
普通のデートはしない。ラブホテルで会う。そして、終われば解散する。それを繰り返す。
俺は、恋人らしい時間を作ろうとしなかった。彼女と向き合うこともしなかった。
かつて半年間、彼女の話を聞き続けていた男とは、まるで別人だった。
表面上の一人称は、「僕」のまま。丁寧に話す。普通に笑う。でも、その内側には、「俺様」がいた。
そして、ベッドの中ですら、俺は感情を切り離していた。頭の中で、「1、2、3……」と数える。そして、100。
そこに愛情があるわけでもない。彼女を喜ばせたいわけでもない。自分の感情すら、どこか遠くから見ているような感覚だった。
半年間、彼女に振られて傷ついた男。その男が今度は、「俺は、お前に振り回されない」ということを証明しようとしていた。
俺は、恋愛をしていたというより、自分がどこまで感情を捨てられるのか、試していた。
3.壊れていく関係
そんな関係が続けば、当然、普通の恋愛にはならない。彼女からすれば、半年間、自分の話を聞いてくれた優しい「僕」が、突然、感情を見せない男に変わったように感じたのかもしれない。
以前の俺とは、明らかに違った。そして彼女は、次第にお酒を飲むことが増えていった。
もちろん、それが俺との関係だけが原因だったのかは、今の俺には分からない。
当時の俺は、「俺の態度が彼女を壊したんじゃないか」なんて考えることすらしなかった。
むしろ、「俺はもう、誰にも振り回されない」と思っていた。相手の感情を揺さぶる。記憶に残る。「どうでもいい男」にはならない。
――それが、俺様理論だった。そして俺は、彼女との連絡を徐々に減らしていった。
俺様理論が「成功した」と思った日
今振り返ると、この話はかなりおかしい。半年間、彼女を大切にしようとしていた男が、10連敗した途端、「嫌われてもいい」という鎧を着た。
そして同じ女性に、まったく違う態度で向き合った。結果、付き合うことになった。
だから当時の俺は、「やっぱり、俺様理論が正しかったんだ」と思った。強く出ればいい。相手の顔色なんか見なくていい。優しくしすぎなくていい。嫌われてもいい。自分から選べばいい。
――そう思った。でも。今の俺から見ると、それは「勝利」と呼んでいいものだったのか、分からない。半年間、公園で彼女の話を聞いていた俺。
その俺が、10連敗したことで、「優しい自分」を捨てた。そして残ったのは、「僕」という仮面を被った、冷たいロボットだった。
頭の中で、100まで数える男。それが、10連敗の後に生まれた、新しいマフェットだった。
【今日のリベンジマフェットの教訓】
→嫌われることを恐れず、自分から踏み込んだ。そして、俺は一度、成功した。でも――その勝利の先にあったのは、感情を捨てた自分と、壊れていく関係だった。
それでも当時の俺は、「これでいい」と思っていた。なぜなら――もう、傷つきたくなかったから。
そして俺は、この「俺様理論」を引っ提げて、次の女性へ向かっていく。ここから先、ロボット・マフェットの恋愛は、さらに加速していく。
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