営業成績でも、プライベートでも、ライバルに完全に打ちのめされた。
「なぜ、自分よりすべてにおいて能力が高い人間がいるのか……」
学生時代も社会人になってからも、何となく生きてきた。
本気で誰かと競い、本気で負けた経験なんてなかった。心のどこかで、「本気を出せば勝てる」という根拠のない自信があった。
人と接することは苦手だった。それでも営業は嫌いじゃなかった。努力すれば数字として返ってくる。
その積み重ねが少しずつ結果につながり、
「頑張れば変われるかもしれない」と思えるようになっていた。だからこそ、そのライバルの存在は苦しかった。
自分も必死に努力している。それでも、後から来た彼はあっという間に僕を追い抜いていく。
周りからも「やっぱりライバル君はすごいね」と比べられている気がして、営業だけが自分の居場所だった僕は、少しずつ自信を失っていった。
あの時、初めて知った。努力だけでは届かない相手が、本当にいるという現実を。
そんな絶望の中で出会ったのが、別部署から異動してきた一人の女性だった。年齢は40代。圧倒的なスタイルと色気を持ちながら、どこか肝の据わった雰囲気をまとっていた。
社内では「昔、ヤクザの親分の妻だったらしい」という噂が飛び交っていた。ある日、社内の誰かと僕の隣で雑談をしているのを、彼女が何気なくこうつぶやいたのが聞こえてきた。
「うちの壁には、まだ銃弾の跡が残ってるんだよ。」
当時の僕は、その言葉の意味がよく分からなかった。「何の話だろう」そのくらいにしか受け止めていなかった。
でも、社内で囁かれていた噂と、その一言が頭の中でつながった時、この人は本当に普通の人生を歩いてきた人ではないんだと思った。
それ以上は聞かなかった。人には踏み込んではいけない過去もある。僕にとって大切だったのは、その過去ではなく、この人が僕にかけてくれた言葉だった。
彼女は、この時だけ僕を助けてくれたわけじゃない。営業で悩めば相談に乗ってくれた。落ち込んでいれば笑わせてくれた。
失敗した時も、さりげなくフォローしてくれた。気づけば僕は、困った時には自然と彼女を頼るようになっていた。だからこそ、あの日の一言は、僕の胸に深く刺さった。
ある日、暗い顔で仕事をしている僕を見て、彼女は言った。
「まふぇっとちゃんは暗いよ。ライバル君みたいに『もしもし!』って語尾を上げてみな。あの子を見てごらん。あれが営業なんだよ。」
その一言が、頭から離れなかった。帰宅してから何度も考えた。そして、一つの結論にたどり着く。
「俺は暗い人間なんだ。」
ライバルを思い浮かべた。落ち込む自分とは違って、彼はいつも明るかった。
「だったら、自分が自然に選ぼうとすることの真逆を選べばいい。」無理に明るい人間になろうとする必要はない。
暗い自分を認めた上で、その反対を機械的に選び続ければいい。この日、生まれたのが、後に僕の営業人生を支えることになる
「秘技・全反転」だった。我ながら。。。なんて中二病なんだろうか笑 でも今後生きていくなかで、もう一人の自分として現れることとなる。
不思議なことに、この考え方は営業だけではなかった。
恋愛でも。
人間関係でも。
人生でも。迷ったら、自分が選びたいほうではなく、あえて真逆を選ぶ。その積み重ねが、少しずつ自分を変えていった。
今振り返れば、彼女は営業のテクニックを教えてくれたわけじゃない。自分を変える「考え方」を教えてくれたのだ。もちろん考えたのは自分だが、変えるヒントやタイミングを与えてくれたのが彼女たった。
もし、あの日あの一言を聞いていなかったら。きっと違う未来になっていた。
あの日、彼女は営業を教えたんじゃない。人生の進み方を教えてくれた。僕にとって、その人がヤクザの元妻と噂された先輩だった。
54人目につづくーーー
今日のまふぇっと教訓
👉 人生を変えるのは才能じゃない。たった一つの「考え方」が、その後の景色を全部変えることがある。
営業は中身が一番大事。でも、不思議なことに「今日は少しかっこよく見える」と思える服は、背中を押してくれることがあります。僕が長く愛用しているグレースーツはこちらです。
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