不夜城での戦いは、いつも3人だった。イケチャン、ジョージ、そして俺。
誰が声をかけるか。誰が落とすか。そんなゲームみたいな夜が、ずっと続くと思っていた。
でも、ある女性「仮に“まみ”としておく」が現れてから、何かがズレ始めた。
まみは、髪が長くて、少しぽっちゃりして見える体型。でも肌が綺麗で、どこか柔らかい雰囲気を持っていた。当時の俺の、ど真ん中だった。
「俺、あいつ狙うから」
そう宣言してから、実際に一番距離が近かったのは俺だった。連絡も一番取っていたし、デートもした。体の関係も、一度だけあった。正直、うまくいけてると思っていた。でも、そこから崩れた。
「好き」
「なにしてる?」
「なんで返信くれないの?」
今なら分かる。手に入ったと思った瞬間、俺は“追う側”から“すがる側”に変わっていた。
一方、イケチャンは違った。何も言わない。でも、距離だけは縮まっていく。追わないのに、なぜか選ばれる側。同じ場所にいるのに、やってるゲームが違った。
その夜、ジョージはいなかった。イケチャンと2人での帰り道。静かな車内で、あいつは何でもないことのように言った。
「……あ、そういえば昨日、まみとやったわ」
時間が止まった気がした。一度は、自分の彼女だと思った相手を、もっと簡単に、あいつは手に入れていた。
「最近さ、めっちゃ来るんだよね。遊び連れてってって」軽い口調。余裕のある顔。勝った側の声だった。そして、とどめ。
「お前、あいつのこと好きなの?」
「……あいつ、お前のこと“ちょっと怖い”って言ってたよ」
終わった、と思った。俺が送っていた言葉も、あの時の距離も、全部、裏側で共有されていた。俺は、笑って返した。
「別に。落とすためにやってただけだから」
嘘だった。本当は、悔しかった。情けなかった。でも、それを認めたら、全部崩れそうだった。
この夜を境に、何かが変わった。それまでの俺たちは、チームだった。でも、もう違う。誰が落とすかじゃない。誰が奪うか。誰が上か。同盟は、まだ続いていた。でも中身はもう、別物だった。
あの頃の俺は、まだ気づいてなかった。これはただの失恋じゃない。ナンパ同盟が終わりに向かい始めた、最初の夜だった。
💡 今日のまふぇっと教訓「一度手に入れたと思った瞬間、男は一番弱くなる」


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