同窓会って、不思議な空間だと思う。昔は一言も喋らなかった相手が、急に距離を詰めてくる。
逆に、あんなに目立ってた奴が、ただの疲れた会社員みたいになってたりする。そんな中で、想定外の方向から矢印が飛んできた。
声をかけてきたのは、高校時代かなり太っていた女の子だった。正直に言う。当時の僕は、彼女のことをほとんど認識していなかった。僕自身も教室の隅で生きてた“カゲウス”だったし、人を見る余裕なんてなかった。
でも彼女は、少し照れながら言った。
「実は高校の時、まふぇっとのこと気になってたんだよね」
……へぇ。人間って分からない。しかも彼女は、当時よりかなり痩せていた。もちろん芸能人レベルとかじゃない。
でも、「あ、頑張ったんだな」って分かるくらいには変わっていた。ただ、会話していてずっと気になったことがあった。
「みんなに痩せて良くなったって言われるんだけどさ」
「実際、私ってどれくらい可愛いと思う?」
この確認作業を、何回もしてくる。たぶん彼女は、“痩せた後の人生”にまだ慣れてなかったんだと思う。周りから褒められる。優しくされる。
でも、その言葉が本音なのか、お世辞なのか分からない。だから、「男から見たリアルな評価」を欲しがってた。
しかも相手は、同じように高校時代の地味な空気を引きずってた僕。彼女の中では、たぶん僕は“安全に本音を聞ける男”だったんだと思う。
でも。外の世界でナンパ同盟に揉まれて、色んな女を見て、痛い失敗もしてきた今の僕は、少しだけ性格が悪くなっていた。
ーー後日。
彼女から連絡が来た。
「今度、友達も呼んでご飯行こうよ」
正直に言う。その瞬間、僕の頭に浮かんだのは友情でも青春でもなく、「その友達、可愛い可能性あるかな」だった。
男って、本当にくだらない。僕はほんの少しの期待を胸に、待ち合わせのガストへ向かった。そして現れた友達を見て、心の中で静かに思った。
「ああ、お前もそっち側か……」確かに、彼女よりは少し可愛い。でも絶妙に、
“山盛りポテトが似合うフォルム”だった。
もう、自分でも嫌になるくらい分かりやすく、僕のテンションは下がっていた。
テーブルの上には
山盛りポテト。
ドリンクバー。
高校時代の思い出話。
「まふぇっとって、昔からなんか気になってたんだよね」
「今は普通に喋れるようになったよね」二人は楽しそうに喋っていた。
でも僕は、どこか冷めた目でその空間を見ていた。昔なら、こんな風に女の子に好意っぽい空気を向けられただけで舞い上がっていたと思う。
でも今の僕は違った。「恋愛対象かどうか」「アリかナシか」そんな目で相手を見ている。昔、誰からも相手にされなかった男が、今度は人を値踏みしている。なんか、それが少し気持ち悪かった。
ガストを出たあと、コンビニの駐車場でタバコを吸いながら思った。結局、人って。承認欲求が満たされないまま大人になると、ずっと“答え合わせ”を探し続けるんだなって。
彼女は「今の私、可愛い?」を確認したかった。そして僕は、「昔モテなかった自分が、今は選ぶ側にいる」その感覚に酔いたかった。どっちも、そんなに綺麗な話じゃなかった。
💡 今日のまふぇっと教訓
👉 承認欲求は、痩せても消えない。👉 そして昔モテなかった男は、選ぶ側に回ると大体ちょっと性格が悪くなる。
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