横浜という街に降り立ち、俺の恋愛戦線はいよいよ新たなフェーズへと突入した。
これまで出会ってきた女性たちも個性的だった。しかし、横浜に来てからは、俺の想像していた「都会の女性たち」との出会いが始まる。
そして結論から言えば――ここから俺は、怒涛の10連敗を喫することになる。
正直に言うと、その10人のうち7人は、あまりにもあっという間に終わったのか、当時の俺が次々と女性に会いすぎていたのか、今では名前も顔もほとんど覚えていない。
ただ、その中でも強烈に記憶に残っている女性が3人いる。
俺の自尊心をズタズタにし、少しずつ精神を削っていった3人。
今回は、その地獄の10連敗の幕開けとなった、1人目の女性の話だ。
「早く彼氏になってよ」
彼女とは、マッチングアプリで出会った。職業はインストラクター。
小柄で可愛らしい顔立ちに、抜群のスタイル。それまで出会ってきた女性の中でも、かなり綺麗な女性だった。
「ようやく横浜で、こんな素敵な人に出会えた」
俺は、かなりテンションが上がった。しかも彼女は、元カレと別れたばかりで、次の恋を探しているという。
アプリ上でのやり取りは、1ヶ月、2ヶ月と続いていった。
そして、彼女からはこんな言葉が飛んできた。
「話がすごく合う」
「私のことをよく分かってくれる」
「ねえ、早く私の彼氏になってよ」さらには、「もう元カレの次なら誰でもいいと思ってる」
そんなことまで言われた。俺は完全に、「これは勝った」と思っていた。
「付き合える」そう確信していた。今までフラれ続けてきた傷が、少しずつ癒えていくような気さえしていた。
待ち合わせの日が近づくにつれて、俺のテンションは上がっていった。
そして迎えた、横浜の駅。
改札で、すべてが変わった
人混みの中から現れた彼女は、写真以上だった。オーラがある。綺麗だ。しかも、優しそう。
「やっぱりすごい人だ」
俺のテンションは、一気に跳ね上がった。
――その直後だった。改札前で、バチッと目が合った。その瞬間。彼女の顔から、スッと表情が消えた。
「え……?」戸惑う俺。笑顔になるわけでもない。明るく挨拶するわけでもない。
さっきまでアプリで、「早く彼氏になってよ」と言っていた女性とは思えないほど、表情が固まっていた。
まるで、スイッチを切ったようだった。俺は、その変化についていけなかった。
「……一応、カフェ行く予定でしたけど、どうします?⋯辞めたほうがいいですか?」
低く、冷たい声。
「どちらでもいいです」
そんな空気が、全身から出ていた。でも俺は、あまりのショックで何もできなかった。
そのまま流されるように、近くのカフェへ入った。
そして――そこからが、さらなる地獄だった。
目を合わせてもらえない
席についても、彼女はほとんど俺の目を見なかった。スマホを見る。外を見る。明後日の方向を見る。
俺が話しかけても、会話が広がらない。なんとか話を続けようとする俺。
しかし、テーブルの上には、なんとも言えない冷たい空気が漂っていた。
告白する、しない。
そんな話ではない。そもそも戦う土俵にすら立たせてもらえていない。
ただ、「早く終わらないかな」という空気だけが、ひたすら伝わってくる。
俺は完全に狼狽していた。どうやって解散したのかも、よく覚えていない。ただ、一人で帰りの電車に乗ったことだけは覚えている。
窓に映った自分の顔を見ながら、(あの2ヶ月間のやり取りは、一体なんだったんだ……?)
そう思った。
2ヶ月間のやり取りより、会った瞬間が強かった
アプリでは、あれだけ盛り上がっていた。
「話が合う」
「私のことを分かってくれる」
「早く彼氏になって」
そんな言葉を2ヶ月近く聞いていた。それなのに――実際に会って数秒で、空気が変わった。
もちろん、彼女が何を思ったのかは分からない。写真との違いだったのか。
実際に会ったときの俺の雰囲気だったのか。単純にタイプではなかったのか。
それは、今でも分からない。ただ、俺が強烈に感じたのは、「どれだけアプリで仲良くなっても、実際に会った瞬間に全部ひっくり返ることがある」という現実だった。
そして俺は、この出来事でまた自信を失った。「優しくしていれば、いつかうまくいく」そんな考えも、少しずつ揺らいでいった。
でも――これはまだ、10連敗の「1人目」に過ぎなかった。この後、俺はさらに女性たちに挑み続ける。そして、10人連続で振られる。
この頃の俺はまだ知らなかった。この10連敗が、俺の恋愛観そのものを変えてしまうことを。
【今日のまふぇっとの教訓】
「2ヶ月かけて仲良くなったのに、会って数秒で全部リセット。恋愛って、思ってたよりセーブポイントが少ない。」


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