半年間の「公園デート」
横浜での連続失敗に、俺は完全に打ちのめされていた。そこで、戦略を根本から変えることにした。
焦って一気に距離を詰めようとするからダメなのだ。今回は、じっくり時間をかけて信頼関係を作る。
いわば、「スローバーン戦略」だ。ターゲットは、66人目の女性。アイドルを目指しているという、155cmくらいの小柄な女性だった。
顔立ちはかなり整っている。いわゆる、小動物系。ただ、俺から見た印象は、「顔は抜群にいい。でも、運動神経が絶望的に悪そうで、おっとりしていて、ちょっと抜けている」
そんなタイプだった。芸能界を目指しているわりには、ガッツやハングリー精神もあまり感じない。
まあ、それでも顔は可愛い。俺が選んだ主戦場は、広い夜の公園だった。
お金もかからない。そして何より、ゆっくり話ができる。週に何度も夜の公園に呼び出して、ベンチに座る。1〜2時間、ひたすら彼女の話を聞いた。
アイドルのオーディションを受けては落ちた話。元カレの話。どうでもいい話。俺はとにかく聞いた。
半年以上。ひたすら聞き役に徹した。
「これだけ一緒にいるんだから、さすがにいけるだろ」俺は、そう思っていた。
そして半年後。いつもの思い出のベンチで、俺はついに告白した。
「本当にいい子だと思ってる。付き合ってほしい」
返事は――「ごめん。付き合えない」だった。あっけなかった。半年以上かけた。何度も公園に行った。1〜2時間ずつ話をした。
それでも、答えは「ノー」。しかも、断った彼女はどこまでもケロッとしている。
俺だけが勝手にダメージを受けていた。普通なら、ここで完全に諦めるところだ。でも、この頃の俺は違った。
振られたその場で、頭の中を切り替えた。
(まあいいか)
(次の本命に行くための、横浜の練習相手として、このまま会えばいい)
……今思えば、これがかなりおかしい。だって、この時点で俺は、すでに65人もの女性と出会ってきた。
それなのに、やっていることは、まるで恋愛経験のない男みたいだった。
「振られたけど、嫌われたくない」
「この関係を切りたくない」
「でも、付き合えないなら次の女を探そう」そんなことを頭の中でグルグル考えながら、結局この女性との関係を残そうとしていた。
経験だけはある。でも、恋愛の立ち回りは全然うまくなっていない。横浜5連敗。難しい。
こうして俺たちは、付き合っていない。手もつながない。でも、週に何度も夜の公園で会う。そんな、なんとも言えない関係を続けることになった。
その裏で、俺は10人に挑んでいた
しかし。この女性と公園で会い続けている一方で、俺は他の女性たちにも果敢にアタックしていた。
一人に振られたからといって、立ち止まるつもりはなかった。次。また次。さらに次。
俺は横浜で、ひたすら女性を追い続けた。
そして――10人連続で振られることになる。
この頃の俺は、まだ自分が壊れ始めていることに気づいていなかった。
ただ、「なんで俺は、こんなにうまくいかないんだ?」
そう思いながら、次の女性へ向かっていた。そして、この10連敗が終わった頃。
俺の中にあった「優しくしていれば、いつか報われる」という考え方は、完全に消えていた。
この10人との出来事は、次の記事にまとめる。そして、その10連敗の先で――俺は、これまでの自分とはまったく違う男になる。
「ロボット・マフェット」の誕生である。次回、10人連続撃沈編。
【今日のまふぇっと教訓】
👉 半年かけて振られても、そこで「自分には魅力がない」と決めつける必要はない。
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